書籍『毒親を反面教師に、幸せな家庭をつくる』先行オンライン公開版(無料版)




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【終章】 「安心して自分でいられる家庭」をバトンタッチ


◆ この章でお届けしたいこと: 最後に、自分の親からの評価ではなく、自分の子の世代へ、自分が何をバトンタッチしたら良さそうかをまとめておきます。家庭を「安心して自分でいられる場所」へ近づけるために…。

 私たちは、親を選んで生まれることはできません。
 しかし、自分が成長するにつれて、自分がどんな人でありたいか、どんな親になりたいか、どんな家庭を築きたいかは、選ぶ余地が少しずつ出てきたりします。
 毒親のもとで育った子だからといって、絶対にその子が毒親になるという、運命のようなものが決まっているわけではありません。
 毒親のもとで生きてきた中で、
 「あの言葉は、えげつなく、つらかった」
 「あの支配への言動は、二度と味わいたくない」
 「あんな親に、自分は、なりたいと思えない」
 といったことを、肌身をもって理解しているからこそ、自分が今度は親になって子育てをする際に、次の世代には、毒親とは異なる、自分としての対応を選ぶことができます。
 過去の心身の痛みや苦しみは、傷として残ったとしても、これから先も、あなたの心身を支配し苦しめ続けるのを、あなたが受け入れる必要はありません。
 それでも、心身の痛みや苦しみが拭い去れない時は、心療内科・精神科の受診やカウンセリングで、大切なあなたの心身を、少しずつでも、癒していって頂ければと思います。
 親子でも、夫婦でも、家族でも、
 「あなたは、誰かの所有物ではなく、大切な家族」
 「条件を満たさなくても、あるがままに、愛される」
 「お互いを大切にして、困ったときには、支え合える」
 そんな関係が、私の考える良い家庭の一例です。
 家庭は、誰か一人が独裁者になって、好き勝手に人を所有物のように扱っていい場所ではありません。
 家庭は、誰かを、生贄や奴隷のような犠牲にしていい場所でもありません。
 家庭にいるみんなは、それぞれに、自分が大切にしたいと思う「心の花壇」があります。
 それぞれの個性や多様性や価値観や可能性の芽を育み、おのおのが花を咲かせながら、心身が疲れたり苦しいときには、戻って安心して休める「心の安全基地」が家庭であれば素晴らしい…。
 もしも、今、親との関係で苦しんでいるなら、まず、心身の安全を少しでも守れるようにしてもらえればと思います。
 そして、あなたの人生を、毒親の問題だけでいっぱいにしないで済むよう、心身の安全な距離をとったり、支援団体などに相談したりしてもらえたらと思います。
 絶対に支援を得なければならないわけでもなく、また、絶対に自力で乗り越えてはいけないものでもありません。
 少しずつ、小さなことからでも良いので、自分のためのひととき、自分のために自分で決める選択、自分のための癒しなどを、増やしていってもらえればと思います。
 毒親との関係が修復したり、幸運にも毒親に変化が生じて毒親問題が是正される人もいるかもしれませんし、心身の安全な距離を取ることで、ある程度の平穏を得る人もいるでしょう。
 毒親と離れて、別々の場所で、それぞれが、それぞれの幸せを目指すこともあるでしょう。
 どんな形であっても、少なくともあなたは、人権を守り、毒親の「負の連鎖」を、あなたが次の世代に受け渡さないでいてもらえるなら、それだけでも素晴らしいことだと思います。

◆ 毒親の「負の連鎖」を、自分の世代で終わらせよう。その先に、親も子も夫婦も、もっと人間らしく穏やかに暮らせる家庭への可能性が広がってくるように思います。



「愛をもって毒を制する」ということ

 私が目指したいのは、毒をもって毒を制するとか、毒をもって毒親に復讐することではありません。
 相手の人権を侵害する復讐でもなく、自分の人権を生贄として奴隷のように差し出す服従でもありません。
 心身の安全に必要な距離と境界線・線引きを保ち、毒親からの害を止めたり軽減したりしながら、ムリなくできるところは関係の改善・修復を促し、難しい場合は、毒親と離れて別々に生きながらでも、お互いの存在を、同じ人権ある人間同士の健全な関係にすることを目指しています。
 愛情は、何も、いつも必ず近くにいなければならないとか、何でも許さなければならないことでもないでしょう。
 時には、心身の安全のために距離を取ることも愛情であり、時には、中立で客観的な第三者の視点を交えて、毅然と淡々と対応することで、毒親のエスカレートを防ぐことも愛情であり得ます。
 時には、
 「それ以上は、致しかねます」
 と丁寧ながらもきっぱりと伝えることが、双方を守る愛情になり得ます。
 そして、何より、毒親からの負の影響といった「毒」を、自分の中から解毒して、自分の子の世代へと受け渡さないでいられるようにするのも大切な愛情です。
 自分が受けられなかったような、尊重や共感や支援などを、自分の子や家族には惜しみなく、無条件の愛情で包み込んで提供する…。
 そういったことが、私にとっての「愛をもって毒を制する」という、ひとつの希望を込めた「答え」です。





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