書籍『毒親を反面教師に、幸せな家庭をつくる』先行オンライン公開版(無料版)




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【はじめに】 「毒親」を語る目的は、誰かを裁くことではなく、自分の人生を取り戻すこと


 家族だから、自分の所有物を乱暴に扱うように、子を傷つけ虐待しても良いわけではありません。
 親だから、いつも正しいわけでもなく、子だから、いつも間違っているわけでもありません。
 子だから、虐待や負の影響を及ぼしてくる親に、黙って従い続けなければならないわけでもありません。
 親も子も、お互いにとって、奴隷や生贄(いけにえ)ではなく、お互いに人権も個性も多様性もある人間同士です。
 「毒親」という言葉には、独特のキツサがあるかもしれません。
 長年傷ついてきた人にとっては、「自分が感じていた苦しさには名前があったのかもしれない」と気づく入口になるかもしれません。
 また、「親を悪者にするための言葉」に聞こえて、親として抵抗を感じる方がいらっしゃるかもしれません。
 私は、この言葉を、親を吊るし上げるために使いたいのではありません。
 大切なのは、レッテル貼りで画一的な物事の見方に陥るのではなく、家庭の中で実際に何が起きているのか、誰の心や身体や可能性が傷ついているのか、そして、そこからどうお互いに人生を持ち直していくかです。
 私自身、今は亡き育ての父(生みの母の再婚で、養子縁組となっています)と、今も同居している生みの母との関係の中で、長い間、父母ともに、条件付きの愛情、精神的虐待、支配、決めつけ、進路への強い介入と進路断念、心を折る言動などに悩んできました。
 幼い頃から、私は、親の価値観の「ストライクゾーン」から外れると、親から精神的虐待を受け、自分の本心を親からカモフラージュして、「私は親のストライクゾーンにきっちりはまった言動をする子ですよ」といった、心や言動のカモフラージュを覚えました。
 私の個性や多様性や可能性といった種子が芽吹き育つ「心の花壇」を、親が根絶やしにするような「爆撃」をしてくる状況から守り続け、自分で自分の心を守る場をつくるような感覚でした。
 しかし、私は同時に、親も一定の人権ある一人の人間だと考えてきました。
 また、子が見ても異常な言動をとり続ける親について、中学生くらいになったころから、私は、親が精神疾患や精神障がいなどに該当する可能性も考え、今でいう合理的配慮は欠かせないように努めるようにしてきました。
 精神的な成長としては、本来は妥当な範囲であるべき「反抗期」も、私は意識的に無いようにふるまい、その爆発的な力を、同じ爆発力であるなら、生徒会活動で学校行事の変革に注ぎこんでみたりしました。
 うっかり、反抗期に、親に反抗してしまうと、「そんな対応なら、もう、お前が生活できないようにしてやる、生活費も食事もすべて提供しないぞ」と、ほんとに生みの母から言われたことですが、ある条件に満たない場合は、手にかけて殺さなくても死に至らしめる状況に追い込むぞ、という、家庭内でのディール(取引)で生きなければなりませんでした。
 親を憎み抜けば自分が救われるとは限りません。
 親への復讐心や不公平感や「親だから子をどう扱っても良い」という歪んだ正当化は、次の世代に毒親の負の連鎖を延々と受け継がせる・先送りし続けるものかもしれません。
 毒親にもある一定の人権を尊重するべきことと、そのために、子が支配や虐待に耐え続けることも同じではありません。
 お互いが相手を人権ある人間として扱うからこそ、自分も相手も、同じ人権ある人間として扱われるだけのお話しです。
 毒親が子の人権を尊重しないで虐待や負の影響を及ぼし続けるなら、それ相応の、法令上の措置や人生で「お互いに幸せになりあう」ための別々の道を歩む、といったような、何らかの対応がある、という感じです。
 「親を捨てる」とか、「育ててもらった恩を仇で返す」というような、毒親が都合の良い被害者ストーリーの主人公になる「仕掛け」に、まるまる乗る必要はありません。
 また、絶対に、親と別々のところでそれぞれの幸せを求めていかなければならない義務もありません。
 本書が目指しているのは、「毒親のひどさ」のランキングづくりなどではありません。
 苦しかった体験を、「こんな思いは自分の子にさせないでいたい」と、これからの人生の知恵に翻訳・転換することです。
 毒親と心身の距離を取ること。
 相談窓口に相談してみること。
 毒親との境界線を引くこと。
 怒りを感じても、怒りに人生のハンドルを渡さないこと。
 いろんなタイプの虐待について知ること。
 親になったとき、夫婦になったとき、職場で人を指導するとき、同じ「復讐心」「不公平感」「正当化」の構造で、DVや虐待やハラスメントなどを繰り返さず、お互いの人権・個性・多様性や可能性を尊重して、お互いに幸せになりあえるように生きていくこと。
 そこに、本当の心の回復があるように思います。
 本書は、親との関係で傷ついてきた方だけに向けた本、というわけでもありません。
 「自分も、知らないうちに、子を傷つけていないだろうか」
 と見つめ直そうとする親、夫婦、家族の関係を少しでも良くしたい方などにも読んで頂ければと思う本です。
 傷ついた側には、自分を守り人生を取り戻す道を。
 気づいた親には、虐待や負の影響を子に及ぼすのを止め、謝り、関係を修復していく道を。
 どちらにも、「これから」を選び直す余地があることを、本書ではお届けできれば幸いです。

◆ 過去を「なかったこと」にするのではなく、過去に「これから」を決めさせない。





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