『がんと心のリゾート: がん患者のメンタルケアと闘病を支援する家族の視点』
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<付録1> 「おうち入院」 8つの薬と3つのアプローチ
【8つの「薬」】
① ことばぐすり――軽々に励ますより、寄り添い共感する言葉を交わす。
② 味方としての傾聴ぐすりと「伴走」膏――頭ごなしに否定せず、同じ方向を向いて横を歩く。
③ 信頼ぐすり――家庭を安心・信頼できる安全基地にする。
④ あるがまま居場所ぐすり――何もできない日でも、そのままでいられる居場所をつくる。
⑤ 役割ぐすりと感謝ぐすり――できる役割を奪わず、してくれたことに感謝を伝える。
⑥ 啐啄同時な自立保護バランスぐすり――手を出す時機を見極め、自立と保護のバランスをとる。
※啐啄同時(そったくどうじ): 戸村流のまとめ方としては、過剰でもなく不足もせず、ほど良きタイミングと
バランスで相手を尊重しながら接するといった感じです。
⑦ 生活リズムと日にちぐすり――安心して過ごせる日を少しずつ重ねる。
⑧ 穏やかゆったりぐすり――「~しなければならない」「~であるべきだ」を減らし、予定で心を無理やり押すのではなく、心の状態に沿って予定を組み替えたり減らしたりして、心の状態を予定よりも優先する過ごし方。
【3つのアプローチ】
① ベクトル・ガードレール・アプローチ――進む方向は共有しつつ、本人の進み方を尊重し、危険なときだけ最小限に支える。
② 多様性の公正公平な尊重と受け入れあい――夫婦でも一人の人間同士として、本人の意思・希望・個性を尊重する。
③ 家庭や夫婦でのサステイナブルなレジリエンス対応――無理なく長続きする支え方をつくり、ダメージを小さく、回復を早く、次への備えを厚くする。
【付録を読む際のお願い】
「8つの薬」と「3つのアプローチ」は、うつ病やパニック障がいの罹患経験・当事者経験のある私(戸村智憲)なりに、おうち入院で妻を支える際に大切にしている自分なりに考えたり感じた中で生まれた言葉です(医療用語ではありません)。特定の病気・病状への治療法・医療上の推奨事項などとして医療の教科書に載っているようなものではありません。症状や治療方針などは一人ひとり異なるため、実際の医療については主治医など医療の専門家にご相談の上でご対応下さい。
<付録2> 我が家の「おうち入院」の主な歩み
2022年4月 妻・妃美に大腸がんが見つかる。大学病院で検査、手術予定が決まる。
2022年4~5月 手術直前に心の状態が大きく崩れ、精神科病棟へ入院。
2022年5月16日 精神面を整えたうえで大腸がん手術。腹腔鏡手術が無事成功し、人工肛門も不要だった。
2022年5月31日 退院。「おうち入院」を開始。6月には海釣り、7月には家族での「旅行リハビリ」を試し、生活の中で回復の自信を少しずつ積み重ねる。
2023年3月 療養を続けながら大学を卒業。
2023年 検査への不安や心の揺れを抱えつつ、外出・旅行・フィットネス・趣味など生活範囲を広げる。大
学教員としての職場復帰は、心身の状態を優先して見送る。
2023年11月 国際ロマンス詐欺に巻き込まれかけるが送金前に食い止め、警察へ相談。心の状態も大
きく揺れる。
2024年春 自立範囲が広がり職場復帰が見え始める一方、PTA活動を契機に心の状態が急落。役員を辞
退・交代し、再入院を避けるため「おうち入院」を再び手厚くする。職場復帰もいったん見送る。
2025年5月 術後・退院後約3年を経て、宮崎の実家へ家族で帰省。
2025年7月 療養と仕事の両立支援のため、日本マネジメント総合研究所合同会社の非常勤理事に妃美
ちゃんを迎え入れ、がん体験や心身の健康などについての啓発活動・社会貢献活動を開始。
2025年9月12日 大学病院の主治医より、心の面で「寛解」という一つの区切りを得る。
【本書の記録について】
本書は、妻本人の意思と了解のもとで公開した記録等によるものです。医療機関・医療従事者・学校関係者・親族・知人などについては、プライバシー保護のため匿名化・一部表現の整理を行っています。また、診断名・入院形態・薬剤・検査・治療に関する記述は、当時の記録と私の理解に基づく体験記です。読者のみなさまの診断・治療・服薬その他の医療上の判断は、必ず医師などの専門家へご相談ください。
<おまけ> 「おうち入院」の中から生まれた夫語録
・アップしても油断せず、ダウンしても悲観せず
・堂々とラクをする
・心の余力を貯める、心のクッションの厚みを増やす
・心の非常用バッテリーを使い切らない
・プラス方向に全力で逃げよう
・前に進むために、こまめに、「ピットイン休憩」しよう
・薬は心のアシスタントさん
・心のカイロプラクティックで物事の見方のズレを修正
・支援する家族が、「心の防波堤」「ガードレール」になる
・予定に心を合わせるのではなく、心の調子に予定を合わせる
・三歩進んで二歩下がっても、一歩進んでいる
・アップダウンしながらも、大きくみると右肩上がりの回復
・自分を大切にする。そして、自分を大切にするのと同じように、自分の大切な人のことも大切にする。




